おはようございます。

試飲ができる、ゆっくり選べる、だから見つかる!
あなたにぴったりのお酒に出逢える、こだわりのお酒専門店「SAKEOH 酒逢(さけおう)」です。

会社サイトもオープンしました!
本日試飲できる銘柄・オススメ銘柄など、随時更新しておりますので、チェックしてみて下さい!
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SAKEOH 酒逢(さけおう)では、こんなテーブルで飲み比べができます! 

先週の11月22日(金)から営業を開始。
それ以前には店頭のメッセージボードに「この秋に開店します」と書いておいただけで、広告的な事は何もしてないにも関わらず、かなりの数のお客様にご来店頂きました。

『「秋っていつだよ!もうすぐ冬だよっ」て思いながらずっと待ってたんだ』と、

嬉しいお叱りの言葉を何人ものお客様に頂きました。ありがたいことこの上ないです。

商品説明をしている時に気づいた事

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私は酒好きが高じてこの仕事を始めたくらいなので、今まで意識しなかったのですが、22〜24日までの3日間、お店を開けて初めての接客をしてみて気付いたコトとして…

「日本酒用語」の定義を把握されている方はかなり少ない、という事でした。
ですので今回からシリーズとして日本酒用語を解説するエントリを書きたいと思います!

「寿限無寿限無五劫の擦り切れ…」的な難解な商品名を読み解いてみる

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若者のお酒離れ、日本酒ファン層の高齢化によるフェードアウトなどにより、日本酒業界の競争は非常に熾烈なものがあります。
そのため日本酒メーカーは商品の付加価値をよりアピールするために、生産工程に関わる記号を羅列してその「こだわり」を消費者にアピールする傾向があります。

この傾向、実は私個人的にはあまり良い事だと思ってはいないのですが、しかし現状の日本酒業界では、ほぼ全ての商品は「記号の羅列方式」が商品名となってしまっている。

なってしまっているんだから仕方ない。
今回はそれの読み解き方を簡単に解説したいと思います。

日本酒の記号を理解することは「作り方」を理解すること。

決して全部を覚える必要はありません。
これから説明する記号のいくつかを覚えているだけで、今まで 日本酒を味わって「美味しい!」「米の味が濃い!」「フルーティー!」と感じていた…
  • その裏の理屈がわかるようになってきます。
  • 記号ごとの味の傾向がわかるようになってきます。

例えば 「酒逢」というお酒のブランドがあったとして…

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私が酒造メーカー社長で、色々こだわって付加価値をあれもこれもアピールしたい場合…

酒逢 純米吟醸山田錦ひやおろし中汲み斗瓶囲い無濾過生詰め原酒

という名前になります。

日本酒愛好家の方以外にはさっぱり何のことかわからない呪文です。 
しかし、この呪文を要素に分解して、いちいち説明を加えていくと、少しだけわかるようになってきます。
  • (酒逢):ブランド名 もしくは メーカー名の短縮したもの
  • (純米吟醸):これは特定名称と呼ばれます。
味の方向性を類推する手がかりとなる「お酒の作り方」を表します。「純米吟醸」であれば、純米(=醸造アルコールを添加していない)であり、吟醸(=原料の酒米を60%以下まで磨いた、米の外側40%は使わなかった)であるという事。
  • (山田錦):使用した酒米のブランド名。
使用した酒米の50%以上がその品種の場合に、使用比率(%)と併せて表示できます。
  • (ひやおろし):季節性を表す記号のひとつ。「新酒」や「しぼりたて」と同様。
ちなみに、「ひやおろし」とは秋の風物詩で、冬にしぼった新酒を貯蔵し秋まで熟成させ、出荷時に火入れ(加熱殺菌)をしないお酒の事です。火入れをしない分、できたての味に近い。昔は涼しくなる秋までは火入れをしないと出荷できなかったんですが、今はコールドチェーンが発展してますので、「ひやおろし」であること、そのものにはそんなに価値は無いですけど。
食べようと思ったら一年中焼き芋を食べられるけど、やっぱり秋に食べたい!みたいなもんです。
  • (中汲み):お酒をしぼった時のどのへんを瓶詰めしたかを表す記号。
お酒を搾る時、最初に出てくるのを「あらばしり」、その後出てくるのを「中」(これを汲んだのが「中汲み」)、最後に出てくるのを「責め(せめ)」と呼びます。通常はこれらを混ぜるのですが、『中汲み」は『香味のバランスが良いとされている「中」だけを瓶詰めした』という意味です。
  • (斗瓶囲い):「しぼったお酒の一番良い部分を詰めている」という意味の記号。
鑑評会などに出品する際には、しぼったお酒の一番良い部分だけを「斗瓶(10升の瓶)」に囲ってとっておいたりした事から、「手間暇かけて一番いい所を詰めている」という意味ですが、斗瓶に囲えば使えてしまうこの記号はちょっと眉唾だったりします。
「プラズマクラスターはシャー●だけ」とか、「マイナスイオン発生器」みたいなもんに近い?違うかな(汗
  • (無濾過):『雑味を取り去る「炭素濾過」を行なっていない』という意味の記号。
濾過しなかったら「どぶろく」ですので、濾過はします。濾過はするのですが、雑味を取り去る「炭素濾過」をしないということ。
つまり「俺は雑味なんか元々無いような上質のお酒を作れちゃうんだぜ、すごいだろ」という蔵元の自信を表します。
  • (生詰め):加熱処理の時点と回数を表す記号。
「通常2回行う火入れ(=加熱殺菌、しぼったすぐ後と出荷前の2回)を、しぼった直後に1回だけして、出荷前にはしてない」という意味です。「加熱処理の回数が少ないからしぼりたての味に近いだぜ」と伝えたいアピールです。類義語に「生酒」、「生貯蔵酒」があります。
  • (原酒):「飲みやすいアルコール度数にするために水を加えてない」という記号。
日本酒は15度前後のアルコール度数が多いですが、しぼったままの原酒はだいたい20度ぐらいあるので、通常は水を加えて飲みやすくするんですね。原酒だから良いという訳ではなく、濃〜いのが好きな方向き、ということですので良し悪しです。

これでだいたい網羅できたかな、だいたいこんな構造になってるんですよ、日本酒の商品名って。
でもこの他にも樽酒があったり、古酒(熟成酒)があったりするんだけど、まぁそのへんはおいおい…

あ〜、疲れた。

つまり、例にあげたような酒が仮にあったとしたら、

「ほうほう、酒逢ブランドのこの酒は、醸造アルコールは使用してなくて、米を60%まで磨いて、秋まで熟成させた秋限定のお酒で季節感をアピールしているのか、しかも少なくとも50%以上は有名な酒米である山田錦を使っていて、香りのバランスの良い「中」だけを汲んでいて、しかもその中でも特に良い部分を使う為に斗瓶で取り置きしておいた手間暇かかってる酒であって、しかも炭素濾過しなくても商品になっちゃうくらい雑味が少なく作れる腕の有る杜氏(職人さん)が作っていて、加熱処理はしぼった時の1回だけで出荷時にはしてないからしぼりたての味に近い感じを残しつつ、且つ加水処理してないから濃い感じの酒なのかぁ〜」

と思えば良いわけです。

「良いわけです」じゃないよ、長いよ!

とツッコミを入れた読者の方もいらっしゃると思いますが、冗談ではなく、これくらいの記号が羅列してある商品名は珍しくありません。 

日本酒のネーミングは徹底的に生産者目線

日本国民の何%がこの羅列された記号の正確な意味を理解できるんだろうか?という疑問は以前から感じておりました。
 
この記号の羅列方式は、熱烈な愛好家へのアピールにはなっても、ビギナーに対しては逆に気軽に始められない原因というか、ハードルを上げる結果になっているのではないか?とさえ思っています。

これこそが私が「試飲」にこだわった店を作りたかった理由だったりもします。
だって難し過ぎるし、全部覚える情熱を持てる人なんか少ないです。 

しかし残念ながら、この方式に替わって商品特徴を伝える代案がないこともまた事実。難しいですね。

だからこそ、「日本酒用語をわかりやすく解説!」はシリーズ化して続けます。

ここまで読んで頂いた我慢強く、そして賢明なる読者の皆様ならご理解頂けると思うのですが、1回のブログエントリで説明しきれる情報量じゃありません。
ですので今回は「触り」ということで(それにしては長いですが…)、今後細かく説明をしていくシリーズにしたいと思います。

次回、「SAKEOHが日本酒用語をわかりやすく解説!」その2は…

「特定名称について」です。
さらっとしか今回は触れられませんでしたが、日本酒を選ぶ際に、味を類推するため一番重要な分類記号であると言っても過言ではありません。

日本酒を詳しく知ってみたい!とお思い方は次回も是非チェックして見て下さい。

それでは


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