試飲ができる、ゆっくり選べる、だから見つかる!
あなたにぴったりのお酒に出逢える、こだわりのお酒専門店「SAKEOH 酒逢(さけおう)」です。

めっきり寒くなってきました。
忘年会ラッシュで、酒の話なんか聞きたくないという方もおられるかもしれませんが、お付き合い下さい。
年の瀬まであと少し!皆様お身体に気をつけてお過ごし下さい。
前回に続いて、「SAKEOHが日本酒用語をわかりやすく解説!」の第3弾です。
さっそく本題と言いたい所なんですが…
まずは試飲会の告知から入らせて下さい。
試飲会をやります!
テーマ:日本酒
「お正月に飲むお酒はもちろん美味しいのがイイ!だけど何が美味しいかは人それぞれ。だったらSAKEOHで飲んでから決めましょう!」
日時:12月28日(土)29日(日)13:00-17:00
場所:SAKEOH店内
銘柄」30銘柄以上!(詳細はまだナイショ)
一年の初めは美味しいお酒で迎えましょう!
新酒、しぼりたて、樽酒、生酒、渋い古酒などなど続々入荷中。
詳細は確定次第ブログでお知らせします。
以上、告知終了。本題に戻ります。
前回までの復習
結構丁寧に、
手間暇かけて、
本来の日本酒の作り方で、
混ぜ物・水増しとかあまりしないで作った、
比較的安心できる良いお酒
の事でした。
そして清酒の区分は全部で9種類、一覧は下記。
1.純米大吟醸酒
2.純米吟醸酒
3.特別純米酒
4.純米酒
5.大吟醸酒
6.吟醸酒
7.特別本醸造酒
8.本醸造酒
———ここまで特定名称酒———
9.普通酒
上記のうち1〜8までが特定名称酒です。
図解したものが下の画像。画像をクリックするとPDFが開きます。PDFが見れない方はこちら。

ここまで前回のおさらいです。
ここから今回の本題。まずは…
ここから今回の本題。まずは…
お米を磨く(=外側を削って小さくする)とは?

(削ったあとの酒米です。小さく、丸く、真っ白になってます。)
まず図解した表の縦軸「米の削り具合」について、本日はこのテーマだけに集中したいと思います。
米をどれだけ削ったか=「精米歩合」
例えばこの写真、高砂酒造さんの「国士無双 〜宙〜SORA」というお酒。

右側に精米歩合35%と書いてあります。この意味するところは…、
「お米を磨いて磨いて元々の大きさの35%になっちゃいました。外側の65%は使ってません」という意味。
「精米歩合〜%」=「〜%になるまで磨いた」って事です。
外側の削り落とされたものは米粉としてお煎餅とかになるらしいです。
35%ってことは50%以下だから「大吟醸」を名乗れる、
そしてこのお酒は醸造アルコールの添加ナシ、だから「純米」を名乗れる
だからこのお酒の名前は「国士無双 〜宙〜SORA 純米大吟醸」なんです。
でも、そもそもなんでお米を磨くの?
それはね…、お前を食べるためだよ〜!!!!!

すいません、取り乱しました。
後述しますが、せっかく高い値段のお米を買って、削ってしまうのには明確な理由があります。
お米を磨く目的
理由は1つ、米の表面側に多く含まれる「たんぱく質」や「脂肪」などを落とすため、です。
お米は中心に近くなるほど純粋な「でんぷん」の比率が高くなります。
純粋な「でんぷん」は醸造の過程でお酒に「吟醸香」(ぎんじょうこう)といわれる、華やかな香りをもたらします。
最近流行りの「フルーティな香り」というやつがそれです。
逆に表面に多く含まれる「たんぱく質」や「脂肪」は、それらはお酒に「苦味」や「雑味」をもたらします。
だから削ってしまうのです。
だから削ってしまうのです。
しかしたくさん米を削った酒=「良い酒」ではない理由
1.値段が高い
酒米を磨いてしまったら、当然原料として使える量は減ってしまう。
日本酒の主原料は米ですから、たくさん削れば原料コストがはね上がります。
私は「めったに買えないほど価格の高い美味しい酒」より「ちょくちょく気軽に買える値段のそれなりに個性のある酒」が好きです。
2.日本酒にとって「フルーティさ」って、そんなに大事なことかどうか
どうしても「フルーティ」なものを口にしたかったら、酒屋ではなく八百屋に行くべきです。
本当の果物は食べると本当にフルーティですからオススメです。
出汁の効いた煮物や、白身魚の刺し身に、「フルーティな日本酒」を合わせて…、少なくとも私はあまりいいとは思いません。
3.大吟醸で不味いのもいっぱいある
また、逆に言えば「安〜いお米」を50%以下に削っても「大吟醸」になってしまいます。
そういう作り方をしてなくても、メーカーのセンスと消費者の感性が合わなければ、大吟醸だろうと普通酒だろうと「不味い酒」です。
お酒はブランドや生産工程じゃなく「相性」「出逢い」が一番大事
「このお酒、美味しい!」という感覚は、精米歩合だけが理由ではありません。
もちろん次回お話する予定の、特定名称のもう片方の軸:「純米かどうか軸」も含めた「特定名称の分類」でだって、それをカバーできません。
他にも、杜氏(日本酒作りの職人)さんの技術、米の種類、酵母の種類、もっと言えば「その年の出来不出来」だってあるし、飲む側のその日の体調、一緒に食べる料理との相性だってあるんです。
日本酒を絶対ハズさない方法は「信じて買って、美味いと思い込む」か「試飲してから買う」しかない。
でも一定レベル以上の日本酒であれば、地酒屋で買えば4合瓶でも1000円以上、居酒屋で頼めば一杯だいたい500円以上はするものです。
安くはないそのお金を払って、誰しもハズしたくない。
だから勢い、世間で人気とされているブランドばかりに人気が集中する傾向があります。
人気が集中した結果、なかなか手に入らない。抽選にあたるまで何度も申し込むとか、入荷日に並ぶとか、転売ヤーから高値で購入するとか…、過熱してます。
別にこれが悪いと言ってる訳ではないです。性能の良いTOYOTAの車は世界で人気です。プレミアが好きな人っていますし。
ただなんか日本酒が、一部の熱烈なファンだけの間で、「記号」として扱われていて、一般の方々にとっては「なんか難しそうなマニアな世界なのかな…」と敬遠されてしまう遠因となっている…、そんな気がします。
だけどその一方で、宣伝広告が下手で、地元でしか知られていないけど、飲んでみたらめっちゃレベルが高いお酒はゴロゴロしてるんです。それを紹介したい、熱烈なファン以外の人にも、普段使いの美味しい日本酒を気軽に…というのが、私がSAKEOH 酒逢(=「試飲をじゃんじゃん勧める地酒屋」)を作った理由でもあります。
すいません、ちょっと脱線しました。
今日の本題である「米を磨く」に関してはだいたいこんなところです。
整理すると
整理すると
- 米を磨けば磨くほど、雑味のない透き通った味になる
- そして吟醸香と呼ばれる「フルーティ」な香りもついてくる
- だからといって磨けばいいってもんでもない
こんな感じです。
あとは補足として「酒米」について少し書き足します。
あとは補足として「酒米」について少し書き足します。
酒米について

今日は「お米」「お米」と話を進めてきましたが、日本酒造りに適しているお米のことを「酒造好適米」「醸造用玄米」といいます。読んで字のごとくです。
普通のお米と何が違うか
さっきも書きましたがお酒造りの米は、「雑味」「苦味」が出ないように精米をする事が前提となってます。
その目的は「たんぱく質」や「脂肪」を削り落とすことです。
だから大きくて削りやすく、削ったあとの中心部(=心白)には「たんぱく質」や「脂肪」が少ない方が良い。
しかしながら、皆さんがよくご存知の食用米(「ササニシキ」「コシヒカリ」などなど)だと、元々米が小さいから、削ると粉々に砕けてしまう。そうなったら使えない。一番最初の写真のように、丸く磨かれた状態にならない。
「酒造好適米」の特徴
長年の品種改良の結果、「酒造好適米」はどんどん大きくなって、削りやすくなっています。

(写真の左側が超有名な酒米の山田錦、右が食用米のコシヒカリ。大きさの違いがわかりますでしょうか?)
また雑味の原因となる「たんぱく質」や「脂肪」が元々少ないものが開発されています。
米の品種改良のおかげで、近年の日本酒の味は非常に向上したと言われています。
また雑味の原因となる「たんぱく質」や「脂肪」が元々少ないものが開発されています。
米の品種改良のおかげで、近年の日本酒の味は非常に向上したと言われています。
しかし問題もあります。主には2つ。
1.生産コストが高い。
「酒造好適米」は稲の背が高い。と、どうなるか?
耕地面積が余計にかかるんです。密集させちゃうとお互いで日当たりを邪魔しちゃう。
だから植える間隔を多く取る。そうすると食用米よりも面積が必要になっちゃいます。
だから植える間隔を多く取る。そうすると食用米よりも面積が必要になっちゃいます。
更に粒が大きい。と、どうなるか?
背が高い上に、頭が重いんです。当然稲穂が実るとおもいっきり頭を下げます。台風とかにやられたら簡単に倒伏しちゃう。
そのリスクの分も、全て高いコストの要因になってしまっています。
2.量が少ない。
これは「生産コスト」の問題と関係しているのですが、栽培するのに高い技術が必要とされる上、倒伏のリスクなどがあるんです。
そのせいで、酒造好適米の農家自体が少ない。だから生産量も少ない。
食用米も酒米も含めた生産量のうち、95%が食用米、酒造りに使われる米の総量が5%、そのうち「酒造好適米」にいたっては約1%程度しかありません。
更に最近のニュースで非常に腹が立ったのですが、
減反政策(米の生産総量を政府がコントロールして減らす方向にする政策、主に価格維持の目的)の生産量枠内に「酒米」も含まれているため、農家は増産ができない(酒米を増やしたら食用米の分を減らさねばならない)状態にあって、頭を悩ませているとのこと。海外の日本酒ブームで需要が高まっているのに、酒米を作りたくても作れないから酒米が足らない、というアホな状態になっているそうです。
高い技術が必要で生産リスクも高い、生産量が限られている上に食用には使えない「酒米」を、増産しようがしまいが、米の価格維持とは全く関係がないことは明確なのに、法律の杓子定規な適用で、千載一遇のマーケットチャンスを逃してるこのアホな状況が直る頃には、海外の日本酒ブームは去っていた、なんてことにならないように祈るだけですが…、腹が立ちますね。
なんだかまた随分と長くなってしまいましたので、ここらへんまでとさせてもらいます。
次回予告
シリーズ第4弾は「醸造アルコール」に関して書こうと思います。
第2弾:特定名称の概要
第3弾:特定名称の軸の片側「精米について」(←今ココ)
に続いて、ようやく次の第4弾「醸造アルコールについて」で「特定名称」の重要な部分に関しては終了になりますが、それでもまだ…、
以前例示した商品名でいうところ、
酒逢 純米吟醸山田錦ひやおろし中汲み斗瓶囲い無濾過生詰め原酒
のまだ左から6文字目までしか終わってません。
果たしてこのシリーズに需要はあるのか?
わかりませんが意地で続けます!
それでは
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