試飲ができる、ゆっくり選べる、だから見つかる!
あなたにぴったりのお酒に出逢える、こだわりのお酒専門店「SAKEOH 酒逢(さけおう)」です。

5月試飲会の告知を見ていない方は、試飲会「地味旨酒」の告知記事を先にチェックして下さい。

もうすぐ夏なのに「燗酒器」を購入しました。

地味旨初夏
5月の試飲会において、より「地味旨酒」の魅力を知って頂くため、どうしてもお燗をつける設備が必要でしたので手配しました。
これと…


 
これのチロリ1個のやつ 



どちらにしようかと深く思い悩んだ挙句、下の電気式を購入しました。
(色々比較検討しましたが、一般の皆様が購入されるのであれば電気式でない「ミニかんすけ」で十分かと思います。)

届くのが楽しみです。届いたら開封の儀をレポートします!

初めて試飲会でお燗して試飲を供給します。どこまで提供できるか未知数な部分もありますが…、当日を楽しみにお待ちください。

それではお燗に関してウンチクを少々…

地味旨お燗

なぜお燗をするのか?

答えは簡単。お燗すると「常温の時と全然違う!なにこれ美味しい!」となるお酒がいっぱいあるからです。
ちなみに、お燗をして美味しく変化することを「燗上がりする」と言います。

常温で飲んで「地味な味だな〜、酸味も強いし、なんだこれ」って低評価だったとしても、お燗をしたらめちゃくちゃ美味しい、なんて事は多々あるんです。

地味な目立たない女子がメガネを外したらドキリとなる、あのパターンです。

そう、日本酒は世界にも珍しい「飲用温度が極めて幅広い」お酒で、高めの温度で飲まれる事を前提に作られてるお酒がたくさんあるんです。

参考までに引用温度帯の名称はこんな感じ…

日本酒の温度帯の呼び名

  • みぞれ酒:0度
  • 雪冷え(ゆきひえ):5度
  • 花冷え(はなひえ):10度
  • 涼冷え(すずひえ):15度
  • 冷や:常温
  • 日向燗(ひなたかん):30度
  • 人肌燗(ひとはだかん):35度
  • ぬる燗:40度
  • 上燗(じょうかん):45度
  • 熱燗(あつかん):50度
  • 飛び切り燗(とびきりかん):55度以上

安い居酒屋なんか行くとレンジでグラグラに煮立てたヤツだしてくれたりしますが、あれは論外です。

日本酒の良し悪しは、「冷やして」「常温で」「お燗して」くらいまで検討しないと決められない!

さすがに日本酒の温度帯の呼び名(5度刻み)の味の違いなど検討していられませんが、せめて「冷やしてどうか?」「常温でどうか?」「お燗してどうか?」の3つくらいを見ないと、「お下げ髪をほどいてメガネを外したら絶世の美女に変わる地味な女子」を見逃してしまうリスクが高くなります。

逆にポジティブに考えると、日本酒は色々な楽しみ方ができる懐の深〜いお酒だということ。

具体的には…

  • 「この銘柄は冷やして飲むとこんな味だけど、常温だとこう、お燗にしたらこんな魅力が…」というような、ひとつの銘柄を極める一途な楽しみ方
  • 「鍋料理にはこのお酒を冷やで、刺し身にはあのお酒を熱燗で」という浮気(?)な楽しみ方

現在では色々なお酒が簡単に手に入りますので、SAKEOH酒逢としては2番めの「浮気(?)な楽しみ方」をオススメいたします。

残念ですが「どんな温度でも、他の追随を許さず美味い!」なんてお酒はなかなかないです。怪力ホームランバッターはだいたい足が遅かったりするもんで、冷やして美味しいお酒はお燗するとイマイチだったりしするもんです。

折角のお酒を、もっと楽しむためにも、一番美味しい温度帯を、居酒屋の詳しそうな店員さんや、信頼できる酒屋さんに確認してから飲まれるのをオススメします。

では、どうしてそんなにまで味が変わるか?そのメカニズムについて次で詳しく説明します。

なぜお燗(=温度を変える)すると味が変わるのか?

私がこれを知った時は結構びっくりしたのですが、
過熱することでお酒が変化して味が変わるってわけじゃないんです。

もちろん、過熱することで香りが立ちやすくなるので、香りが際立つというような変化はあるのですが、お燗をする本当の意味はそこではなく…

「温度によって、飲み手側の感じ方が変わる」部分にこそあるんです。

日本酒の味を構成する5つの要素と、温度による感じ方は下記の通りです。

甘(かん)

体温くらいが一番強く感じる。

酸(さん)

温度が下がれば強く、高くなると旨味に変化する。

辛(しん)

温度が下がれば強く、高くなるにつれ柔らかく感じる。

苦(く)

温度が下がれば強く、高くなるにつれ柔らかく感じる。

渋(じゅう)

温度が高くなると柔らかくなる

以上5つが「酒の五味」と呼ばれています。

大雑把に言ってしまうと、「これらのバランスが変わること、また温度変化により目立ってきた1つの要素が他の要素を隠したり、逆に引き立てたりすることで、飲む人が感じる味が大きく変わってしまう」 これがお燗すると味が変わる大きな原因なんです。

逆の事象で言い換えると、「熱いコーヒーに絶妙の感じで砂糖とミルク入れて調整した、自分好みの味のコーヒーも、冷えてから飲むとめっちゃ不味い」みたいなもんです。温度によって、感じる味は異なるのです。

拙い説明で申し訳ないですが、お分かり頂けたでしょうか?

ちょっとお燗酒に興味が出てきました?

地味旨お酌
歴史を大雑把に振り返ると、江戸時代から一昔前までは、年間を通じてお燗をして飲んでいたそうです。

香りの良い吟醸酒がブームになり、また冷蔵設備等の進歩で生酒が簡単に入手できるようになり、めんどくさくない冷酒で飲むのが、今ではかなり一般化しましたが、それはつい最近の出来事なのです。

フル−ティーで甘くて、何よりわかりやすく美味しい「流行りの感じのお酒」はもちろん私も大好きです。
しかし「酒との出逢いの場」であることをミッションとするSAKEOH酒逢としては、その対極にあっていまいちスポットライトが当たっていない(気がする)「地味旨酒」の美味しさを、そしてその中に多い「燗上がり」するお酒の美味しさを紹介しない訳にはいきません!

もう来週に迫りましたが、5月24日(土)5月25日(日)は是非お越しいただいて、実感して楽しんで頂ければと思います!

それでは!