酒逢の夜試飲会、記念すべき第一回目「SAKEOH PREMIUM Vol.1 出羽桜酒造」の開催も来週金曜に差し迫って参りました。という事で参加される方もされない方も、せっかくなので『出羽桜』について深く知ろう!という「予習テキスト」的な趣旨で出羽桜酒造さんを深く掘り下げて紹介しようと思います!


『「SAKEOH PREMIUM Vol.1 出羽桜酒造」って何の事?』という方は下記のリンクをご参照下さい。:
酒蔵からゲストを招き、試飲しながら銘酒を深く知る新企画「SAKEOH PREMIUM」始動!記念すべき初回ゲストは出羽桜酒造さん!

試飲会レポート:「SAKEOH PREMIUM Vol.1出羽桜酒造」大盛況でした!


出羽桜酒造ってこんな酒蔵

出羽桜蔵全景

基本データ:

  • 本社  :山形県天童市一日町1-4-6
  • 創業  :明治25年(1892年)11月
  • 販売量 :一万石(一升瓶換算で100万本)/年
  • 従業員 :70名
  • 代表銘柄:桜花吟醸酒(1980年発売)
  • 経営理念:「挑戦と変革」「不易流行」

山形県天童市

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文才がないので風情を伝えるような文章を書く無駄な努力は諦め、頂いた資料の文章をそのまま転載します。
ちょっと長文ですので、山形民謡でも聞きながらお読み下さい。

土蔵の二階にある酒母室の窓からは出羽三山の一つ月山のなだらかな半円形の真っ白な頂きが、反対の窓からは樹氷の蔵王山の頂上が望める。日本三大急流の最上川は村山平野を少し急ぎで日本海に下っていく。海から吹き込む湿った風は、周囲の山々に大量の雪を降らす。松尾芭蕉の句で有名な立石寺のある山寺の岩山に浸み込んだ雪解け水は、地中を潜って湧き出し最上川の支流立谷川の伏流水となって、古来より酒造りの源泉となっている。日本一の将棋駒の生産地、山形一の温泉地天童市は、さくらんぼ、ラフランス、リンゴ、桃、ぶどう等、日本有数の果樹地帯、そしてお米の一大生産地であり、山形の誇る酒造好適米「出羽燦々」の産地でもある。

なんか良い酒ができない訳がないような気がします。こういう文章書ける人ってすごいです。

お酒造りの参考資料と酒造りの様子

出羽桜さんから頂いた、蔵や酒造りの資料

写真をクリックするとpdfが開きます。

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酒造りの様子の写真

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出羽桜といえば「吟醸」

出羽桜桜花吟醸酒

出羽桜酒造は、昔からの日本酒ファンによれば「吟醸酒といえば出羽桜」というほど有名ですが、それは大ヒット商品「桜花吟醸酒」に拠るところが大きいです。

1980年、ポピュラー吟醸酒の先駆け「桜花吟醸」の大ヒット

時代的背景

当時は特級酒、一級酒、二級酒と級別分類されており(日本酒級別制度)、1960年までは公定価格制で全国同一価格で販売されていたような状況。わずかに市販されていた「吟醸酒」=「特殊な高額なお酒」で、吟醸酒という言葉の意味を理解する消費者も少なく、ただただ「贈答用のお酒」として使われていた。

酒の良し悪しと等級が対応しているわけではないという欠陥のある制度で、二級酒より一級酒、一級酒よりも特級酒の酒税率が高く結果売価が高額となる。多くの酒造メーカーは「特級」として監査をパスして、「特級」のお墨付きを得て販売しようしていた。 (歴史的経緯・状況に関してはこちらの記事にも詳細に記述があります。)

出羽桜酒造の果敢なチャレンジ

そんな状況の中、出羽桜酒造はあえて…

品質の高い吟醸酒を、わざと二級酒として監査を受け、高品質且つリーズナブルな価格で市場に供給するという英断を行った。

当時では異端であったが「品質が良くても価格が高くては飲んでもらえない。比較的廉価なポピュラーな吟醸酒を造るべし」という信念のもと、果敢にチャレンジし、商品ラベルには製造責任者と出荷責任者を記載し、品質本位のお酒として1980年の発売すぐから、「この価格でこの味は凄い!」と当時の日本酒ファンに強いインパクトを与え、たちまちのうちに人気商品に、そして今に至るまで「あの酒を飲んでから日本酒を好きになった」「日本酒のイメージが変わった」と驚きの声が寄せられるほど、根強い支持を受け続けています。

吟醸酒だけじゃない、出羽桜のここがスゴイ!

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他に先んじてなんでも挑戦するからスゴイ!

生酒

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当店でも大人気、出羽燦々記念酒も生酒です。

生酒の生産・販売を始めたのは、なんと「桜花吟醸酒」発売からたった2年後の1982年、生貯蔵酒や生詰め酒でなく、当時まだ一般的ではなかった「全く加熱処理をしない生酒」 の出荷を開始。今では全出荷量の30%、特定名称酒の40%を生酒が占めており、年々低温貯蔵設備も増設し、今では1300KLの生酒をマイナス5℃以下で貯蔵できるようになっている。

長期熟成酒

驚く無かれ、こちらも「桜花吟醸酒」発売からたった2年後の1982年には「大吟醸酒 大古酒」を発売、続いて1984年には「本醸造 三年大古酒 枯山水」、1997年「冷温熟成 大吟醸 大古酒」、2002年「五年氷点下熟成 雪漫々」と続々と商品を開発していった。
出羽桜酒造の長期熟成酒の特徴は、マイナス5℃〜5℃の低温で貯蔵管理を徹底していることで、常温熟成とは明らかに異なる上品に枯れた味わいの「美しい熟成」であること。

その他、本当にパイオニア精神がありすぎて…

例えば今では多くのメーカーがやっている「耳付き和紙に、墨書で商品名を書くラベルのやり方」を先駆けて採用していたり、調べれば調べるほど出てくる「出羽桜が他に先んじてシリーズ」は枚挙に暇がなさすぎるのでここまでにしておきます。

蔵元の哲学がスゴイ!

上述したエピソードだけでは、品質本位の考えで、機を見るに敏な、イケイケな酒蔵なのかと誤解されてしまうかもしれませんが、決してそうではありません。

先代(三代目)が、ご自身も酒造りを学び、またその哲学に惚れ込んだ長野の銘醸蔵「真澄(ますみ)」にちなんで名前を付けられたという四代目蔵元の仲野益美(ますみ)氏の文章を出羽桜酒造さんから頂きました。
それを読むうち、非常に感銘を受けた部分があったのでご紹介します。まとめようかと思ったのですが、省略できる部分が全くない名文なので、少々長いのですがご紹介します。

日本の装置産業の発展は世界に冠たるものがあり、その技術的水準の高さは誰しも認めるところである。しかし一粒の米を巨大で精巧な装置に注入したとしても、コンピュータ制御によって吟醸酒、純米酒、本醸造酒と分かれて製品として出てくることは決してないし、もし可能になったとしても、味気ない致酔飲料にすぎない製品にしかならないであろう。日本酒こそ伝統産業であり、文化のシンボルでなければならないと思っている。いつまでもこの文化的産業を維持していきたいと考えている。

蔵に松尾大社酒造りの神を祭り、各蔵々に注連縄(しめなわ)を張り、心清らかに杜氏を中心に精進している。日本酒というものは、製造するものではなく、あくまで慈しみ育てるものである。出羽桜自体も決して工場でない。現に「蔵」と呼ぶし、私の業もまた、清酒育成業に他ならない。全国には数多くの蔵があるが、その地域に根ざし愛されるためには、こんな素朴な姿勢こそが大切で、それがキラリと光る酒質を醸成する唯一の途だと考えている。

日本酒の濃度は日本人の心を流れる血液の濃度と同じ濃さである。民族の酒たる所以は、そこにのみ存在するのである。厳しく鋭い目で見つめられ、その負託に答えてこそ、民族の酒であり、長い間、それこそ気が遠くなるような時間、民族が見届けてこそ民族の酒であり得るのだ。日本酒は永遠であると信じてやまない。

技術だけでなく、心清らかに酒を醸す。民族の酒たる日本酒を、「自らの業」として慈しみ育てる。

ヤバいです。深いです。私もそのうちこんなこと言えるようになりたいです。出羽桜酒造さんに分厚い資料を頂き、自分でも色々調べて情報を集めたのですが、改めて「やはりすごい酒蔵なんだ!」と思い至っています。

そんな「出羽桜」はSAKEOH酒逢でご購入頂けます

酒逢は東京の店舗と通販サイトがあります

通販サイトでご購入可能です

出羽桜酒造の商品はこちらでチェックする事ができます。

もちろん店舗でも!店舗では試飲も可能です

東京都葛飾区金町にあるSAKEOH酒逢では、無料で試飲をすることができます。試飲をして選ぶので、万が一にもイマイチなお酒を買ってしまうようなことはありません。
試飲イベントも頻繁に開催しております。ぜひ遊びに来て下さい。

2015年1月23日(金)出羽桜の池田様がいらっしゃいます!

今回の出羽桜酒造の紹介、だいぶ長文になってしまいましたが、これでもエッセンスを抽出してなんとかまとめたような形です。色々不明な点あると思いますが、まだ満席にはなっておりませんので(あと2席@1/17 14:00現在)、ぜひ試飲会にご参加頂き、出羽桜酒造の池田さんに直接ご質問をして頂ければと思います。 試飲会参加申込みはこちらです。

20名満席となりました。お申込みありがとうございました!
(2015年1月17日追記)

という事で、「SAKEOH PREMIUM Vol.1 出羽桜酒造」の開催は来週金曜、1月23日の19:00〜です。記念すべき第一回目なのでどんな事になるのか、私も楽しみにしております。

それでは!